2016.07.20

子供向けプログラミング教育のいま~プログラミング教育において大切なこと~(7/12開催)

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2016年7月12日(火)、「子供向けプログラミング教育のいま~プログラミング教育において大切なこと~」を開催いたました。
※セミナー告知ページはこちら(セミナーは終了しています)

■プレゼンテーション
セミナーの前半では、D2Cエデュケーションビジネス部の篠崎が「米国におけるプログラミング教育のいま」をテーマに講演。SXSWedu2016の注目点と捉えた「体験価値の重要性」を会場と共有し、海外におけるプログラミング教育サービスの具体的な事例紹介と、ティーチングポイントとして考えられることを「先生」「生徒」「全体」の観点から提案した。

また、同社コンシューマ事業部の河上は、「こども×プログラミング」というテーマで講演。各省庁(厚労省、総務省、文科省)の取り組みをおさらいした後、同社が取り組んでいる、「こどものミライ(WEBメディア)」と「アプリ甲子園」を紹介。アプリ甲子園のパートでは、過去優勝者がプログラミングやアプリ甲子園の決勝大会を通してどんなことを感じていたのかを伺い知ることができるショートムービーが放映された。

■パネルディスカッション
後半のパネルディスカッションには、デジタルハリウッド大学大学院佐藤教授、日本マイクロソフト渡辺氏、ライフイズテック水野氏、レゴエデュケーション須藤氏が登壇。以下、パネルディスカッション要旨。

<海外の公教育>

OECD PISA2012の調査結果について、マクロ視点からの解説からディスカッションがスタート。日本の状況の確認と、海外の公教育における、CT(COMPUTATIONAL THINKING)、STEM(Science,Technology,Engineering and Math)、CS(COMPUTER SCIENCE)の区別(CT⊃STEM⊃CS)についての説明があった。加えて、海外においては、プログラミングはComputer Scienceを学ぶための1つのツールという位置付けであることや、必ずしもプログラミングだけを推進しているのではないことが補足され、昨今の日本で議論されている「プログラミング教育」にも教科という上位概念が必要なのではないかという提案があった。

<大人の役割>

最初から「プログラミングを超学びたい!」という子どもはほとんどいない。小さな興味関心を大事にして、いかに次も学びたいと思ってもらえる環境を作ってあげることができるか、という議論があった。継続して子どものモチベーションを高めていくためには、大人が個々に対してどういう期待値を設定してあげるか(ゴール設定)がポイントになる、という意見や、大人(親)がプログラミング教育の目的や学びの効果を正しく理解することが大事だという意見が交わされた。

<ロールモデル>

モノづくりのロールモデルという観点からすると、昔は松下幸之助や本田宗一郎のような人が存在していた。IT(ソフトウェア)という産業が出てきた今、そういった象徴的な人の多くは海外の人となってしまった。しかしながら、日本でもプログラミングに取り組んでいる子どもが増えて裾野が広がっていくことで、自然とロールモデルになるようなヒーローが生まれてくるのではないか、という話があった。また、そのロールモデルについては、単にプログラミングのプロということではなく、「テクノロジーを使って問題を解決したり表現したりする人」といった少し上位概念のモデルであって、そのモデルには何が必要なのか、必要なものの中の1つにプログラミングというスキルがありますね、と、立ち返って正しいロールモデルを形成していくことの必要性が共有された。

<教える側のスキルセット>

教える側の先生がいないのは全世界共通の悩み。日本においては、情報以外の教科で教える知識は毎年大幅には変わらないが、情報は知識の流れが速い分野なので、先生がアップデートしてそれを子供に教えていくのは結構難しい。しかし、そこはICTで解決できることがあるのでは、という期待が寄せられた。ただし、一般論で言えば、このままプログラミングが学校教育に導入された場合、どう教えてよいか分からなくなる先生が出てくる可能性がある。強いリーダーシップを取れる先生がいれば良いが、そういった先生は現実的にはまだまだ少ないという現状と、翻って、そこは民間教育が引っ張っていける部分でもあるので、子どもがいろいろなサービスをどんどん使って、学校や制度の仕組みを乗り越えてくれることを期待しているし、そうなっていくのではないか、という意見が交わされた。

<たくさんの格差>

・お金の格差
公教育でICT環境を整備しないと、裕福な家庭かそうでないかによって、生徒がおかれるICT環境に格差が生じるのではないか。
・親のリテラシー格差
これはお金で解決できない。受験勉強だけしていれば良いという親が、子どもの可能性を摘んでしまうかもしれない。
・世界との格差
政府の決断力の速さには海外との圧倒的な差がある。教育に関するサポートという点では大きな差がないが、ICT環境整備のスピードが遅いのは確かで、5-10年で圧倒的な遅れが出てしまう懸念がある。

<ディスカッションを終えて>

・プログラミングやICTを学ぶための公教育の環境整備が進まない場合、全ての生徒に機会を与えることができずに、生徒間の格差が広がってしまう危機感を感じている。一方で、コンピューターやインターネットが身近にあれば、自発的に興味をもって取り組む子は出てくるはずなので、公教育の環境整備にも期待したい。(渡辺氏)
・教育においては、上から目線で教えるのではなく、子どもと同じ目線に立つことが大事。子どもが学びたいと思えるような環境を作ってあげることが、大人ができる最大のことだと思う。(水野氏)
・プログラミング教育やコンピュータサイエンスについては、一過性のブームで終わらせないことが重要。社会に根付くのにも時間がかかるし、効果が表れるのにも時間がかかるので、継続的な取り組みが必要と感じている。(須藤氏)
・プログラミング教育という言葉が一人歩きし始めるとミスリードが起こり得る。大人が、Computer Science、プログラミング、ITリテラシーといった事柄を明確に使い分けるだけの力が必要になってくる。そういったことを考えていただく一助となればうれしい。(佐藤教授)

■参考URL
・こどものミライ http://kodomomirai.com/
・アプリ甲子園 https://www.applikoshien.jp/
・アプリ甲子園動画 https://youtu.be/WtLGRivUvBA/
・WRO http://www.wroj.org/2016/

■公開資料(登壇者の方々からご提供いただいた資料です。大切にお取り扱いください。)
・渡辺氏 パネルディスカッション用資料
thum_D2C_20160706

・須藤氏 パネルディスカッション用資料
thum_Sudo_PPT-for-Panel_D2C_Jul-11-2017

・篠崎 米国における プログラミング教育のいま
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■会場の様子
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ご来場いただいた方々には、この場もお借りして御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

今後もEdTech Smart Labは、さまざまな取り組みを行ってまいりますので、その際には是非またご参加のご検討をお願いできれば幸いです。

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